ハウジングファースト東京プロジェクトとは?

ハウジングファースト東京プロジェクトは、2008年、2009年に池袋にて行われたホームレス実態調査にて、約50%の人たちが何らかの精神疾患を抱えているということが明らかになったことをきっかけに、世界の医療団を中心に2010年に立ち上がりました。
アメリカで生まれ、世界各国で成果が実証されている、ハウジングファーストモデルを池袋で実現することを目指しています。
ハウジングファーストは、重度精神障害があり、かつ長期化したホームレス状態の人たちを対象に、「まずは住まいを取り戻す」ことをコンセプトに支援を開始するプログラムです。
リカバリーとハームリダクションを支援の柱に、ACTチームによる支援が行われ、利用者が決定することが最も大切にされています。

私たち訪問看護ステーションKAZOCでは、このプロジェクトに2013年より参加し、ホームレス状態からアパート生活移行した人のうち、医療的な支援が継続的に必要な人に対し訪問看護を行っています。
現在、6つの団体で連携し、プロジェクトを進めています。

支援の流れ

①生活相談班
「NPO法人TENOHASI」が行っている、炊き出しや夜回りの場に、「認定NPO法人世界の医療団」が、医療班・生活相談班のブースを出します。
ここで「路上生活を辞めたい」「具合が悪い」等のSOSをキャッチします。
ここが入り口です。
②生活再建班
「一般社団法人つくろい東京ファンド」とTENOHASIが運営している個室シェルターに入居します。
そこに「ソーシャルワーカーズオフィス(SWOC)」から相談員が訪問し、生活保護を申請したり、医療に繋いだり、アパート入居を目指します。
③生活維持・継続班
精神科医療に繋がると訪問看護が利用出来るようになります。そこで私たち「訪問看護ステーションKAZOC」が支援を開始します。
また、グループホームが必要な場合は、「べてぶくろ」が運営するグループホームへの入居支援を行います。
④日中活動班
路上を経験したメンバーが集う「あさやけベーカリー」で、夜回りなどで路上の方に配るパン作りを行っています。
また、「コニュニティースペースべてぶくろ」でも、浦河べてるの家をモデルに当事者研究、物販、仲間作り等の日中活動を行っています。

ふとんで年越しプロジェクト

仕事を失ったり、収入が絶たれたり、住まいを失うなどの生活困窮状態におちいった場合、私たちは公的な社会保障制度によって、必要ならすぐさま支援を受けることができます。
しかし、行政機関の窓口が閉まる「年末年始」は、そういった支援につながりたくても窓口が開いていないことによって、それを利用することができません。

公的な支援を望めないこの期間、私たち民間の支援団体は、全国各地で路上生活者や生活困窮された方を支えるために、炊き出し・夜回り・医療福祉相談などの「越年・越冬活動」をおこなっています。しかし、どこも手弁当の活動のため、なかなか必要な支援を用意することができないでいることも事実です。

2013~14年、2014~15年、2015~16年の年末年始に、私たちは都内各地の民間団体や個人に呼びかけ、必要な方に暖かい宿泊場所と医療・福祉のサポートを提供する「ふとんで年越しプロジェクト」を結成しました。
クラウドファンディングを通じて皆さまからご支援をいただき、2013~2014年には約20名、2014~2015年には約30名、2015~2016年には15名の方にシェルターを提供することができました。公的支援が断絶する年末年始における「シェルター」の必要性を、年を追うごとに強く実感しています。

また、私たち民間の支援団体では、政府に対して年末年始の支援施策を実施するよう要望・提言活動もおこなっています。ここ数年間の進展として、年末年始の「閉庁期間まで」に、必要な方が相談支援につながれる対応をするよう、政府が自治体に通知を出すようになりました。また、「閉庁期間中」にも、生活保護の申請が原則として可能となりました。
しかし、残念ながら、年末年始に新しい施策が整えられるまでには、いたっていません。

国や自治体が年末年始の支援施策を実施しないなか、私たちは再度、「ふとんで年越しプロジェクト」を結成し、自分たちにできることを模索していくことにしました。
この冬も、一人でも多くの方が、暖かくして年を越せるように、ふとんで年を越すことができるように、年末年始の間、共同のシェルターを借りて、運営していきたいと思っています。

協力団体

世界の医療団

世界の医療団は1980年にパリで発足した、世界各地に医療・保健衛生分野の専門スタッフを中心に派遣し、人道医療支援に取り組む国際NGOです。国籍、人種、民族、思想、宗教などのあらゆる壁を越えて、世界で最も弱い立場にある人々に支援の手をさしのべることが、私たちの活動です。

世界の医療団のウェブサイトへ(外部)

TENOHASHI

私たちが活動している池袋周辺にも、生活に困窮して家を失った方が多くいらっしゃいます。
失業・家族と絶縁・病気や障がいなど、原因は様々ですが、共通しているのは孤立無援であることです。
どの方も、安心できる家族や仲間とのつながりを失い、不安に押しつぶされそうになりながら、孤独に耐えてかろうじて生きています。
私たちは、その方々と出会い、話し、一緒に考え、試行錯誤しながら、 安心できるつながりとホームを取り戻すお手伝いをしています。(TENOHASHIのウェブサイトより)
TENOHASHIのウェブサイトへ

一般社団法人つくろい東京ファンド

一般社団法人つくろい東京ファンドは、2014年6月、「市民の力でセーフティネットのほころびを修繕しよう!」を合言葉に、東京都内で生活困窮者の支援活動をおこなってきた複数の団体のメンバーが集まり、設立されました。
代表理事は、過去20年間、東京・新宿を中心に路上生活者や幅広い生活困窮者の相談・支援をおこなってきた稲葉剛(認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事)が務めています。(つくろい東京ファンドのウェブサイトより)
つくろい東京ファンドのウェブサイトへ

べてぶくろ

「べてぶくろ」は、「べてる」と「いけぶくろ」をかけた名称です。
北海道・浦河に、精神障害等を抱えた当事者の活動拠点「べてるの家」があります。
そこでは「社会福祉法人浦河べてるの家」、「有限会社福祉 ショップべてる」などの共同体が集まり、1984年の設立から現在では100名以上の当事者が暮らしています。
それらの総称として「べてる」と呼ばれています。べてぶくろでは、その「べてる」が大事にしているものを受け継ぎつつ、東京・池袋をスタート地点として、共同住居やグループホームの運営、当事者研究、べてるの商品販売等をはじめ、独自の活動を広げています。(べてぶくろウェブサイトより)
べてぶくろのウェブサイトへ

あなたもkAZOCで働きませんか?

KAZOCでの待遇を知る